【日本の次なる成長 〜地域経済の活性と交流の促進〜】
日本の経済は成長の壁に突き当たっている。戦後における種々の束縛から抜けることができず窒息状態に置かれているのだ。今、まさに維新の時だと考える。世界中が恐らく不思議に感じているのは、日本国内を見渡せば世界でもトップクラスの企業が溢れており、地位を裏づける技術もあり、高い教育を受けた労働者が懸命に働いている、それなのに経済はなかなか成長しない、そんな日本の現状である。その原因は、経済システムのどこかにほころびが生じているからであろう。今、必要なのは政策の総点検であり、経済政策だけではなく社会政策とも関連した総合的な成長戦略である。
例えば、人口減少が続く中において、現在の家族単位への政策が適切であり、出生率の向上に繋がっているのか。さらに人口問題が地域や経済へ及ぼす影響を見据えているのか。一世代30年と言われているが、30年後の人口構成などを踏まえたビジョンを描き、その上でこれからの10年を位置づけるような視点が必要である。
今後、中国は巨大な競争相手になることは間違いないだろうが、その過程では日米の手助けが必要な面がたくさんある。これは、私たちの成長の機会にもなり得るという認識を持ちたい。日本人は内向的な国民だと言う人もいるが、海洋国として貿易で栄えた国家国民である。企業は、国益に基づいた知的財産や技術の戦略的な移転などにも認識を深めつつ海外に出て競争すべきだし、一方で外国企業を国内に迎え入れつつ競争に勝つべきだと思う。日本は昔から海外に関心を抱き、グローバル競争を勝ち抜く多くの企業を育ててきた国であり、私はその潜在能力を信じている。元気だった昔の町村は、単にモノを生産する場所というだけではなく、人々が四季を祝い、祭りを楽しむ場でもあった。モノを生産するにあたっても、付加価値を創出し、文化産業の育成に熱心であった。米や野菜のような一次産品をはじめ、繊維や陶器などの工業品にも各地の名産があり、収入だけではなく地域の誇りを生み出していた。今日の地域を貧しくしているのは金銭的な富の欠乏だけではなく、かつての文化力が衰退したことによる誇りの喪失ではないだろうか。
日本人が忘れがちな固有の強みを生かす改革が、成長へのカギを握る。観光資源や食文化、伝統工芸品など地域特有の豊富なソフトパワーを活用した地域経済活性化を焦点に運動を推進することは勿論、海外にも目を向け、各国各地域との交流や人的交流から刺激を得ることで、私たち青年が率先して日本の成長を促していきたい。
【国の新たな価値観の在り方 〜多様な日本の発信〜】
歴史も文化も異なるコミュニティを繋ぐ試みは、国際政治の世界でも始まっている。
国と国との関係は、歴史的に覇権と支配の構図の中で揺らいできた。その反省から様々なコミュニティを抱える国々を結ぶ地域統合の動きが各地で進んでいる。欧州連合(EU)が掲げるのは、各構成国の文化や地域的特性を維持しながら「多様性の中の統一」を目指すということである。東アジア共同体構想は90年代に東アジアの経済統合を唱えて以来、多くの政治家がその必要性を説いてきた。しかし、共同体の枠組みや狙いなど、構想の輪郭はまだまだおぼろげだ。EUが枠を超えて地中海連合を提唱するなど、既存の地域連合内外で様々な動きがある今、私たちはアジアの一員として、東アジア共同体をも視野に入れ、民間外交から日本の存在を確かなものにしなければならない。また、東アジアのさらなる安定平和のために私は文化交流を促進し、日中中期ビジョン5ヵ年計画に基づき日本と中国の地方都市同士の交流を増進したい。そしてこれらの交流促進は、日本の新たな価値を生むことになると考える。
現在の世界が求める新たな価値観は、実は私たちから見ると懐かしい価値観であり、日本型資本主義や日本型経営において大切にされてきた価値観である。また、目に見えないものを見る文化や、顧客との縁を大切にし、おもてなしの心を語る思想なども同様である。このように世界の資本主義が進む方向を、日本型資本主義と日本型経営は先取りしていると言えよう。そのことに私たちはもっと自信を持つべきである。さらに、日本には太陽が昇るとふと手を合わせたり、道端の草にも露の中にも仏性が宿ると信じたりという非常に洗練された思想がある。八百万の神を肯定し崇める信仰や、全てのものを受け入れる大乗仏教の思想など、多様な日本の精神・思想・文化の在り方を世界が求めるようになると思う。
環境が変わった時に一種類の品種しかなければ、米でもトウモロコシでも全滅してしまうが、様々な品種を植えておくと生き残るものがある。つまり、生きているシステムにとっては、多様であることが安全保障であり一番の強さとなる。ひとつの価値観で固めようとすると世界のバランスが崩れてしまう。安全保障についてそう考える時代にようやくなってきたのではないだろうか。こういう考え方をこれからの日本が世界中に発信していくことが求められていると思うし、それが世界から信頼され「尊敬される日本」に繋がるのだ。また、日本文化に興味を持っている外国人は極めて多く、世界中に日本文化のファンを広げるために、我が国の文化を世界に正しく発信する外国人青年の貢献を称える取り組みも新たに実践したい。
【国民とJCとの絆の構築 〜コミュニケーションとガバナンスの強化〜】
昨今の日本では、効率的であることや民主的であることなどが流行している。饒舌なテレビなどのメディアから乱れ飛ぶ情報の中に多くの国民は呆然と立ち尽くす。一方では自分の密室に閉じこもり、社会と上手にコミュニケーションを図れなくなってしまった人も存在する。これらを回復する治療法のひとつに私たちの持つJCCS(JCコミュニケーションシステム)を活用できないだろうか。このシステムをJCだけのものとせず、双方向コミュニケーションツールの一つとしてさらに進化させ活用したい。また、近年、SNS、動画共有サイト、ブログなどのソーシャルメディアマーケティングが注目されている。これらをJCがコミュニケーションツールとして有効活用することで、地域や市民との良好な絆づくりに挑戦したい。ただし、使い方によっては話題になりそうなコンテンツをつくり、その話題を口コミで伝播させたり、中長期的な絆を構築したりすることが可能であるが、決してこれが全てを解決するものではないし、広告に変わるものでもないことは理解いただきたい。
ソーシャルメディアは多種多様であり、それらのコンテンツは全てユーザーがつくり、それを違うユーザーが見たり聞いたりするということが共通点であるが、プラットフォームの多くは営利企業が提供している。主導権はユーザーである国民にあることに注目し、無関心層や潜在顧客といかに繋がりニーズを顕在化させていくのかを実践し、日本JCが公益社団法人格を有していることから、利益追求を目的とするのではなく、フィルターを介さずに国民の生の声を発信することで、益々その価値は高まるのだ。
2010年7月1日に日本JCは公益社団法人へと移行した。これを単なる法人格の名称変更と捉えず、組織の根幹を真摯に再構築する機会を得たと認識し、各地域の独自性は有しながらも総じて同じ方向性の運動を推進すべき本会と地区協議会・ブロック協議会が一体となることで、事業の在り方やその運営方法などが公益性を有し、社会の負託に応え得る組織運営となるよう一層努めたい。また、地区協議会・ブロック協議会を含む日本JCの運動が社会的に説得力を持つためにも、近年推進されてきたJCガバナンスの重要性を再認識し強化することが必要である。そのためにも、地区協議会とブロック協議会における組織や財政改革を含めて再構築し、一方で積極的なディスクロージャーを実施することなどにより、公益性と透明性の優れた組織の確立を実現したい。