青年会議所運動とは何なのか
戦後の焼け野原に青年が立ち、これからの日本を再建するという志によって青年会議所が誕生し活動が開始したことは言うまでもないが、当時は単に国家論や復興論という総論だけに基づいて設立されたのではないと思う。物理的な再建論だけではなく、次代の指導者たりえる若き青年が互いに自らを修練し、それぞれの社会で如何なく力を発揮できるリーダー育成機関が求められていた。その役割を担う組織として、青年会議所の設立が浮上し、それは、経済団体でもなく社会奉仕団体でもない新しいカテゴリーの団体だったのであり、昔も今もこの概念は変わることはない。人生という時間軸で考えた場合、20代や30代という青年期はまだまだ立派な社会人とは言えないかもしれない。学生ではないものの、成人として責任と権利を有し、公の発展と個の生活の充実に努め始める年代、理想を語ることが許される年代、試行錯誤してプロセスを経験することが求められる年代、価値ある人生を生き抜く力を育む大切な年代に、互いに高め合う修練の場が青年会議所であり、互いに相寄り社会奉仕を通じて、自分自身に多くを吸収できる場所であると考える。青年会議所は役職よりも現役時代をどのように向き合い吸収するかに価値を見出し、卒業することが最低条件にあるのだ。それぞれの向き合い方によって、その後の人生観さえ左右される貴重な出会いに溢れた団体の素晴らしさを説いていくことが求められている。そして、40歳以降の人生で現役時代に培った人生の経験を、如何なくそれぞれの社会へ還元することに最も尊い価値があるのだ。今、この年代に謙虚に向き合い、互いに高め合うような団体は他にはない。良き指導者にも悪しき指導者にも向き合うことは成長する自分にとって全てが糧である。自らにどのように吸収するのか、また、どのように活かすのかはあなた次第であり、青年会議所自体の価値や魅力を高めることもあなた次第なのだ。暗いと不平をいうよりも、自ら心の月を灯すのだ。社会を変えようとする前に、まず己を高めることから始めよう。自らを変えられないものに社会など変えられるはずもなければ、世に説得力を持って訴えることなども出来ない。少なくとも私はここで人生を良き方向へ変えることができたと思う。JCに入って本当によかった、と言って卒業するかしないかは、あなた自身にかかっている。
誰のための組織であるのか
日本JCおよび各地の青年会議所は数年前よりディスクロージャーによる組織の透明化と、財務体質の健全化ならびにコンプライアンスの遵守などといった公益法人としての高い精度が求められつつも、意識の高い我が国の青年層を構成メンバーとして運営されている。日本JCは、言うまでもなく会員会議所のものであり、各地から貴重な人材を輩出し合い、互いに助け合う特性を持った組織である。従って、地区協議会、ブロック協議会、そして本会は、あらゆる点で各地会員会議所の利益につながる運営でなければならない。その上で、公益性の高い団体に問われる社会的責任を果たしていくことに変わりはないが、そもそもJAYCEEであるあなたの存在そのものが世のため、人のための尊き公益人材であって、青年会議所はその集合体であることからも、制度改革の波に恐れることはない。青年会議所は我が国の発展に向けた自発的な青年運動の旗手である。各地の会員会議所における尊きJAYCEEが堂々とその活動を行なうことを支援するため、この組織を進化させ、価値と生産性を高め、運営をすることが日本JCの使命なのだ。私は日本JCが誰のための組織であるのか今一度襟を正してその重責を担いたい。
有事に活かせる青年会議所のネットワーク
半世紀以上に及ぶ私たちの歴史は、709に及ぶ会員会議所が存在し、我が国隅々にまで運動の根を下ろすことが出来た。たとえば地震列島と言われる我が国は日々自然災害に直面しているが、自治体間での相互協定に見られるように、民間初の救援協定を47都道府県に亘るブロック協議会が主体となって互いに助け合うことが出来る仕組みを検討したい。有事に弱い縦割り組織ではなく、同じ綱領を有し、我が国に広く横断的に地域活動を行ってきた実績ある青年会議所だからこそ、有事に最も力を発揮してきたことはJCの歴史に見ても明白である。各ブロック協議会の特性を活かし、災害支援の種類やメンバーの数などを踏まえて、今までの災害支援活動を検証し、そのときになって慌てるのではなく、計画性の高い支援マニュアル作成と相互協定をもって、有事に備えられることは我が国ではブロック協議会をおいて他にない。各地に点在し、地域を守る指導者であるJAYCEEが、地域から本当に頼れる存在であることを証明しようではないか。
ブロック協議会の持つ可能性は幅広く、この他にも公益法人格の取得に際して、取得のためのパッケージングや、きめの細かいサポートといったLOMサービスが必要になる。さらに各地の会員会議所が行う運動に対しても、会員減少に悩む現状打開に向けて積極的な外部資金の導入補助など、LOM財政の強化に向けて支援できる体制を整えなければならない。さらに47のブロック協議会の特色や伝統を活かした新入会員への増強を考えたアカデミー研修の場として活発に運動展開されることを期待する。各地の会員会議所に最も近い存在として、今後もさらにその必要性は増していくことになるはずだ。2009年からは地区協議会の副会長に全ブロック協議会会長が就任するようになり、地区協議会の会長は日本JCの議決権を有する常任理事でもあり、中央ではなく地域に主権が転換していくであろう国家形態において、各県の横断連携の必要性がさらに増すことは言うまでもない。そのとき地区協議会はそれぞれの地域からの声を届けていくメッセンジャーであるとともに、多くの情報を各地へフィードバックしていくことのできる統括機関でもある。ブロック協議会や地区協議会は各地の会員会議所から本当に頼れる存在であることを改めて約束したい。
論ずることに終わるなかれ
国家や社会を論ずることは責任ある社会人として非常に大切な姿勢だ。しかし我が国では多くの場所で議論が展開されてきたが、果たしてどれだけの成果が上がったのだろうか。十分に議論されてきたはずのこの課題を冷静に捉え直してみると、総論あるいは各論にのみ論じることに終始し、行政が行う仕事以外に実現させるための仕組みについて論じられた形跡が殆どないと感じている。遠大な理想を論ずるだけで終わらせるのではなく、どうすれば実現されるのか、もう一歩先の仕組みまで議論を深化させる必要があると思う。いわゆる提言というものに惑わされてはならない。実現に向けて緻密な計画性を持つロードマップがなければならず、青年経済人という言葉のとおり、経済人ゆえに持つ発想や青年という若き情熱が目的を実現させていくのだ。その具体性の提示こそが青年会議所の特性であると考える。その時はじめて理想を論ずることに意味を為すのではないだろうか。決して難しいことはない、普段私たちが行う経済活動における、どうすれば売れるのか、どうすれば開発できるのか、といった日々行っていることをそのまま素直に社会に適用すれば良いのだ。これはJCの役職や経験年数などに左右されるものではなく、メンバーであるあなた自身が持つ社会経験や生き方という裏付さえあればいいのだ。論ずることに終わるなかれ、ここから私たちのJCは始まる。多様な青年たちが行き交い、数多の出逢いと成長の機会こそ青年会議所なのだから。
結びに―あきらめない日本を創ろう―
以上が私の考える2010年の青年会議所運動であります。人間は生命最期の一息まで成長を続ける生き物であると信じています。私の人生はJCで育まれ、あなたと同じように今も最期への途にあります。
JCという存在さえ知らずに入会した頃、JC活動を通じて出会ったある人との会話が、今も社会と向き合う私の行動原則として残っています。保健所の職員の方でしたが「健康とは、病気をしないとか、身体に障害がないなどということではなく、意欲を持って社会生活を営めるかどうかですよね」という言葉でした。ほんの10分程度の会話が、今の自分をつくっており、この言葉によって青年会議所運動と何年も向き合えることになるとは想像もしませんでした。無関心との戦いの今、この世の原動力として、国民の社会への参加意欲をあらゆる手段を用いて創出させることが必要なのです。JCは多様な価値観と豊富な経験、あらゆる参加の機会に溢れた団体であると思います。インスピレーションがどこにあるかは、あなたの取り組み方次第です。瞬間の出逢いが人生を明るく変える可能性があるのです。青年会議所は社会を変革しようとする志を持ちながらも、私たちが社会そのものを学ぶ場所でもあるのです。この苦しい時代にもかかわらず、互いに高め合う者同士、40歳までの未熟ながらも輝かしい青年期に、一緒に自分を高め合いませんか。私たちの成長はまちや国そのものを成長させ、卒業後も生涯JAYCEEとして生きがいをつくるのです。私はほんの些細なことからでもこの世の健康を回復させられると信じています。なぜなら、私こそが些細なことから人生を健康にされた本人なのですから。
我がまちをこの国に輝く太陽に
我が国をこの世界で輝く太陽に
私たちがこの時代を照らす太陽でありますように
若き青年の私たちが全人類の光明でありますように
まず私は同志であるあなたを信じることから始めよう
そして私は曇りなき心の月でこの世を照らしていこう
私は子どもたちの未来とこれからの社会をあきらめません
あきらめない日本 あなたたちは私たちの希望であってほしい
日本の未来は私たち青年がつくる 私たちはまた昇るのだから。