説得力のある組織を目指して〜運動論で組織進化を考える〜
2009 年は、公益法人制度改革に伴う新制度がスタートする最初の年になる。ここ数年の日本JC における議論では、ややもすると、創設以来培ってきた日本のJC 運動の本質自体を否定しているきらいがある。当然、新しい制度への対応をしなければならない箇所も多く、予算を含め事業を実施していく上での考え方や、それを終えた後の報告のあり方などは再構築しなければならなかったことも事実であるが、概して“公益性”への意識と、“費用対効果”を追求するあまり、自分達の活動を狭め、自信を失うことへ繋がっている気がしてならない。形の見えない公益性を追求し過ぎたがゆえに、JC 運動が本来持っていた先見性や可能性や期待値までもが否定されたかのような誤解を与え、各種NPO や専門家集団と同じような活動で満足し、本来のJC らしい活動を展開することができずに自信を失いつつある。私は日本のJC 運動が社会的に説得力を持つためには「JC ガバナンス」を構築することが極めて重要だと考える。そのためにも、地区協議会およびブロック協議会における財政改革を含め、運動論においても有機的かつ迅速な組織を再構築し、これらを社会にきちんと説明することこそが求められているのだ。
また、日本JC は、2001 年から進めている組織進化の議論をふまえ、2003 年からは協働運動により運動の一貫性を示し、全国のLOM の応援団として、あるいは情報の発信源としての連携強化に努めてきた。これまでの活動は、全国の会員の指導力を育む機会創出としての機能と、情報発信源としての機能の強化を努めることに加えて、社会を変革していくための訴求力を高める目的で行ってきたことは間違いではない。これらをさらに推進するためには、これまで別々に議論してきた組織進化と運動の一貫性を融合させ、さらなる進化を遂げるべきである。つまりは、運動論で組織進化を考えるべき時代が来たということだ。
協働運動や連携推進運動などに負担感があるということを耳にすることは否定できない。しかし、地区協議会もブロック協議会も日本JC として同一の組織なのだから、その取り組みにおいて地域性豊かであることは大いに歓迎しつつ、運動方針については、日本JC と同じ方向であることをさらに徹底したいと思う。これは単なる統制という意味だけではなく、日本のJC 運動の価値の最大化を目指すという理念に基づいたことであり、そのために、本会がなすべきこと、地区協議会がなすべきこと、ブロック協議会がなすべきことをきちんと役割分担し、全国のLOM と一緒になって、単年度制における活動の成果を最大限引き出すことに注力したい。
JC プライドの伝播〜あなたは、JC が社会を変えられると胸を張って言えますか〜
我々は、JC という組織に誇りを持っているだろうか。JC 運動に可能性や価値を感じているだろうか。自国に誇りを持って生きることの重要性を訴える団体として、まずは帰属する組織にプライドを持たなければ、説得力を持つことはできないだろう。
会員減少がとまらない。特に、せっかく入会した会員の退会率が増大傾向にある。その理由を、しばしばJC 運動が理解されていないと考えているふしがあるが、果たしてそうだろうか。会員拡大ができないのは、JC 運動の趣旨が理解されていないのではなくて、そこで活躍する我々の姿勢が理解されていないだけである。組織の存続を考えるにあたっても、またJC 運動の輪を拡げていくにあたっても、最も重要な課題、それが会員拡大であることは間違いない。
会員拡大の結果の数値は、我々の運動に対する社会の評価そのものであり、我々の活動の最もわかりやすい成果でもあるのだ。我々の現状は、潰れそうな会社の社長が、売上目標を達成できなかったときのあの言い訳とまったく変わるところはないのであって、要は、売上を達成するには、どんな商品であるか、どんなメリットを享受できるかを議論することもさることながら、誰から買うか、誰がどれだけ熱意を持って売るかを考えることこそが、より大切であることを見失っていないか。所詮、会員拡大というのは、相手を口説くことに他ならないのであって、それ以上でもそれ以下でもない。JC 運動を語れる人間であれば、また、各々の生き方に自信を持っている人間であれば、自ずと説得力が身に付いているはずで、それに言霊が宿り、情熱を傾けて、ただひたすらに相手を説得すればいい。そのためには、青年経済人らしく、具体的な数値目標を掲げ、時の指導者の情熱・行動力を先頭に、組織としての緻密な営業戦略を立て、理事長自らがプライドをかけて、会員拡大に取り組むべきである。
退会率の増大は、顧客(会員)ニーズに応えられていないのが最大の原因ではないのか。閉鎖的な空間を作り、限られたメンバーの自己満足だけで運営されるサロン化した組織であれば、必ずや衰退の一途をたどるだろう。肩書きや役職や立場だけでモノを言う、無責任な指導者は必要ない。自戒の念を込めて、顔の見えるリアルなメッセージを伝えていこう。
「あなたに出会えて本当によかった」理事長には、会員から、こう言わしめるだけの責任がある。全国に709 名いる理事長には、そんな魅力のあるかっこいい指導者になっていただきたいと心から願っている。
そのために、私自身が、全国709 LOM の負託を受けた日本JC の指導者として、全国のブロック会長と共に、皆さんのまちに出向き、靴底をすり減らして、JC プライドの伝播に努めたいと思う。
JC への想い
JC は思い出を語る団体ではない。未来を語る団体である。JC とは、人生を生き抜く力を体得する道場であり、JC で過ごした時間は、生涯を通じた成長の糧とされるべきである。自らの言葉で、一度でも経営とは何たるかを語ったのであれば、絶対に会社を潰してはならない。一度でもまちづくりの大切さを口にした人間であれば、死ぬまで地域と真剣に向き合わねばならない。一度でも天下国家を論じたのであれば、現実から目をそむけてはならない。JC という組織にかかわった者として、そんな覚悟で自分と向き合って欲しい。
私は自分の生涯を終えること、つまり死に対して美学を持ち合わせている。
「オヤジみたいな男になりたい」
自分の死に際に、愛する息子からそんな言葉をもらえたら本望である。物事はすべてに始まりがあるし、その先には終わりがある。だからこそ、その終わりをイメージして生きてみようじゃないか。何をしたかということも大事であるが、誰に何を残せたかが最も重要なことなのではないか。すべての可能性は、人から生まれるのである。
日本のJC は、その設立以来、社会の至るところで様々な足跡を残してきたが、JC という組織の本当の素晴らしさは、JC を通じて活躍したJAYCEE が、JC を巣立って、JC という後ろ盾を失ってからも、現役の時と変わらず、いやそれ以上に本気で社会と向き合い、自分の生き様にかけてたくさんの轍を残してきたことにある。名もなき数多のJAYCEE が、JC で身に付けた各々の思想や哲学を軸に据え、その後の人生で如何なく発揮していることこそ、JC の最も誇るべき価値だと私は確信している。
天の時 地の利 人の和
そして最後に伝えたいことがある。それは「天の時 地の利 人の和」この三つが揃えば、必ず時代は変わるということだ。日本のJC 運動は、これまでも全国の至るところで市民意識の変革を唱えながら精力的に取り組んできた。真面目に頑張ったことのあるJAYCEE なら誰しも経験したことがあると思うが、当初の計画とは大きく違い、結果的に思ったほど成果が上がらなかったり、素晴らしい事業を開催しても市民が関心を示さなかったり、マスコミが全く取り上げてくれなかったりして、落ち込んだことがあるだろう。しかし、卑屈になったり、嘆いたり、自信を無くす必要なんか全然ない。子どもたちの明るい豊かな社会の実現のためにと考え、様々な事業に全力で取り組み、運動に費やした時間や労力は、必ず報われる日がくるのだ。
「天の時」―それはタイミング、「地の利」―立地条件、「人の和」―そこに賛同して集う人々の団結力。それらが重なってはじめて、大きなうねりへと変わり、時代が動き始める。善悪の見境さえつかない時代に、JCI の信条の下、私利私欲のない純粋な想いと、高い志を立てた仲間たちと共に、生きた時間を共有しながら歩んだ足跡は、いつの日か必ず大きな運動へと変わり、歴史が評価し後世が共感をしてくれるはずである。
この国にJC 運動の灯がともって60 年、日本が近代文明を取り入れるべく開港を果たして150 年を迎える大きな節目の年、2009 年。その「天の時」は訪れたのだ。世界の中のアジアという立地や、我が国の中のそれぞれの「地の利」を活かして、皆さんと共に「人の和」を以て、「真日本建国」に向けて決起できることを心から誇りに感じている。これまで積み上げてきた歴史に感謝して、この時代の担い手として、若者らしく正々堂々と、自分に恥じない、そして子どもたちに誇れる生き方を実践して行こうじゃないか。
4 万名のJAYCEE たちよ、どうか自身のプライドをかけてJC という組織に向き合って欲しい。今を生きる者として、各々の人生へ真摯に向き合うこと、そのものだから。