理事長所信
はじめに
私達が住み暮らすこのまちは、ペリー来航以来、日本の門戸として多くの近代文明を受け入れ発展をし、日本を世界の中に引き出させた歴史的な舞台となったまちであります。開港後154年間の歩みは、必ずしも順調とは言えず幾多の困難を乗り越えた歴史でもあります。1923年の関東大震災では実に横浜市の95%に及ぶ建造物が崩壊し壊滅的な被害を受けましたが、現在の山下公園を埋め立て造成することでより早い再建を成し遂げました。終戦後、アメリカ軍により接収された歴史もありますが、現在では多くの人々に親しまれる公園として横浜のシンボルとなっているのです。開港から154年の歴史を経て私達のまちは、歴史・文化・アート・スポーツ・情緒あふれる街並みなど、さまざまな魅力を持った特徴あるまちへと発展を遂げて来たのです。
第二次世界大戦後、私達の先達はこの国を憂い、こよなく愛するこのまちの再建に情熱を燃やし、日本経済の復興と恒久的な世界平和を目指し、青年が新たな横浜を創造するべく1951年3月29日、横浜青年会議所が誕生したのです。 何時の時代も“明るい豊かな社会”をつくるという「理念」のもと、このまちと共に歩み続け“まちづくり”と“ひとづくり”を通じて様々な運動を展開し、このまちの発展を担って参りました。そして現代の私達は、経済大国と呼ばれる日本の“今”を生きる青年経済人であると共に、住み暮らすまちの担い手であるのです。将来を担う者としての責任を自覚し、私達と同じようにいずれこの国、このまちの将来を背負い、未来を切り拓いていく者のためにも、我々は青年会議所運動に歩みを止めることなく邁進をしなければならないのです。
幸せは社会の仕組みの中にある
幸せとは社会の仕組みの中に存在し、明るい豊かな社会とは幸せからなる笑顔の向こうに存在すると私は考えています。社会を知らないことや社会に無関心でいることは、何よりも怖いことです。私達は、人々の意識をより良い方向に変革するために、リテラシーをもって情報を精査できなければなりませんし、それらの情報をリアリティをもって発信し、無関心を関心に変える運動を興さなければなりません。まずは“知ること”から始めましょう。社会の中で一人ひとりに出来ることの可能性は溢れています。私達は常に修養を積み、英知を持って、多くの人の意識を変革出来る地域のリーダーとして、相応しい運動を巻き興し、多くの人々が自分の意思を表明し、この国やこのまちの未来を自ら切り拓くことができる豊かな社会を確立しなければならないのです。
2011年3月11日に東日本大震災が発生し、そこでの避難者は40万人を超え、現在でも約29万人の方々が避難生活を余儀なくされています。それまでの私は、多くの人々が自由や権利を主張するあまりに責任や義務を忘れかけ、私権を強調するあまりに公権をないがしろにしているのではないかと感じていましたが、東日本大震災から多くの教訓を得たと同時に、この国が抱えている大きな問題点に気づかされた瞬間でもありました。私達はこれらの教訓から、減災に向け行政が進める取り組みを熟知し、どのように自分を守り共に助け合うことが出来るのか、そして、災害の発生時に被害を減らす為の取り組みを立案し、災害に対応できる強いまちづくりを推し進めなければなりません。それと共に、人は生まれ育った思い出溢れるふるさとをこよなく愛し、ふるさとから離れたくないという強い気持ちを抱くことや、日本人が持つ道徳心には利他の精神が潜在的に宿っていたことにも改めて気づかされたのです。現在世代から未来世代へ引き継ぐ者の責任として、私達はこの郷土への深い愛情と道徳心、その様な日本人に宿る精神を、未来に引き継いでいかなければならないのです。
活気に満ち溢れる“まちづくり”
様々な主義主張や価値観が存在する社会のなかで、横浜青年会議所は2010年代の道しるべとして、人々がお互いの価値観を共有し、未来の横浜を創造し切り拓いていくために「想いを維げるまち横浜」を目指し『共感』という運動指針を掲げています。この指針のもとにまちに係わる行政・市民・関係諸団体と手を取り合い、活気に満ち溢れる明るい豊かなまちの未来を大胆に描き出し、実現に向けて力強く運動を展開し、このまちの更なる発展に尽力することは私達に課せられた責務なのです。
1981年に第1回横浜国際デー“プレ横浜どんたく”として産声を上げた市民祭。港町横浜に初夏の訪れを告げる風物詩として定着をした横浜開港祭は本年で第33回を迎えます。多くの市民が港に感謝し、港の誕生日を祝う開港祭は、行政や民間企業、市民や活動団体など多くの皆様と共につくり上げ、このまちの組織と組織、人と人をつないでいる大切な事業です。港の誕生日をより多くの皆様と共に祝い、共に感謝し、共に楽しみ“笑顔が満ち溢れる祭り”にして参りましょう。
日本青年会議所が主催するサマーコンファレンスの横浜開催は2014年度で、19回目を迎えます。多くの近代文明を発祥してきた私達の地を、日本の青年の運動を発信する場として選んで頂いたことに心より感謝をすると共に、日本青年会議所の運動をより力強く全国へ伝播をさせる為に、広報活動や市民参加・参画など、運営に関わるご協力を誠心誠意行って参ります。また、私達が所属する青年会議所の大きな特徴として、全国的なつながりを持った団体の力が包蔵されていることを忘れてはなりません。横浜に潜在する魅力を最大限に引き出し発信することで、横浜ファンを増強すると共に、外来者の方々が来浜を繰り返される“リピート”を上げ、このまちの更なる経済活性へとつなげて参りましょう。
“ひとづくり”から始まる社会の開発
今この瞬間、私達の周りに存在するものや街並みまで、見えている物の多くは更なる進化を求め続けた人がつくり上げ、目に見えない倫理や道徳までもその時代の人がつくり上げて来たのです。それと共に、社会も大きく変化をして来ました。つまり、人が変わればまちは変わります。そして、まちが変わることで社会を変え、国をも大きく変えていくことが出来るのです。私達が目指す明るい豊かな社会、常に開発をしなければならない社会の“鍵”はいつでも我々の心の中にあり、私達の成長と共に社会はより良い方向へと発展を遂げるのです。
人は人生の中で出会った一つの言葉や、通常では知り得なかった世界を知ることが、その人の人生を大きく変えることにつながることがあります。人生という歩む道の途中に何かしらの体験が分岐点となり、歩む道の角度が少しでも変わることで、将来的に大きな違いをもたらすのです。そして、歩む道のりの中で自ら高い目標を立て、達成した者が得る自信や経験が人を大きく成長させるのです。私達は経済を熟知し、多面的な視野を持ち、変わりゆく社会の流れを捉え、ひとづくりから始まるまちづくりを念頭に事業を遂行する意識をメンバーが一同で共有していかなければなりません。さらに、青年会議所の存在意義や、組織の創設から現在までの歩みを知る機会、現代を生きる経済人としての資質を養う機会、個々の英知を養う機会など、将来を担う青年経済人であり、住み暮らすまちの担い手である私達だからこそ、メンバーの一人ひとりが常に自己の成長に努め、尊い活動をより効率的な運動へとつなげていかなければならないのです。
子どものころの経験を多くの体験から学ぶことは人生にとっての道しるべとなり、人生の選択肢を数多く与えることへとつながります。教科書から学ぶだけではなくこのまちの文化や歴史に触れ、強く感動し、心を揺さぶるような体験から、感性を磨き、人間力を育み、多くの気づきや学びを得て人生の選択肢を増やすことで、自ら希望に満ち溢れた人生への兆しを見出すことが出来ると共に、豊かな心を持ち合わせた大人に成長をしていけるのです。さらに私達は、より強い社会の基盤をつくるためにこれらの事業を通じて、市内各地域の誇れる財産や見えない財産などを発掘し、このまちのあらゆるものを有機的に結び付け社会関係資本の構築を図って参りましょう。
青年の運動
様々な社会問題は、国家の枠を超越し一国では解決できなくなりつつある中で国際的組織の重要性が増し、国家間を超越した活動が重要な役割を担ってくることにもなります。私達は、国際青年会議所のメンバーとして地球上のすべての人と生きることを認識し、先進国の今を生きる地球市民として多くの人に生きる力や明日への希望を与えると共に、急速なグローバル化に対応し、国際社会を生き抜くための国際感覚を身に付けなければなりません。さらに、自らの世界観を広げる為に、率先して国際交流の場を創出することがこのまちをつくる礎へとつながるのです。また、組織が円滑な運営を行うために、先達が歩んできた歴史を改めて紐解き、組織を取り巻く環境を理解し、メンバーが陰日向なく律した行動を取ることで、組織は更にリーダーシップを発揮し、人と人のつながりなど目に見えない資産を増やし続け、組織の礎を築いていくのです。
私達の団体は、若さが持つ未来への無限の可能性を持ち続けるために、年を取らないという特徴があります。常に英知と情熱を持った青年を求めてその門戸を開き、時代と共に新しい呼吸を続け、次々と新しい青年がこの組織を構成し続けるのです。まちづくりを真剣に考え、力強く運動を展開していくためには、広く会員を集うことでより地域に密着した青年会議所を確立することが出来るのです。さらに、組織の発展を展望し会員の拡大を推し進めるには、意義・目的・必要性を全メンバーが認識し、一丸となり多くの同志を募っていくことが重要なのです。そして、志を同じくして、このまちやこの組織のために情熱を燃やし続ける同志達が、何時の時代も結束し共に明るい豊かな社会への兆しに向けて突進むことで、この組織は益々と輝きを増していくのです。さらには、行政・市民・関係諸団体の皆様と、新たな手法でのネットワークを構築し、私達の運動がこのまちに及ぼす影響をより正確に把握をし、多くの運動をより効果的に発信するために、計画的且つ戦略的な活動を通じて、青年の運動を力強く発信していくことが必要なのです。
結びに
私が7年前に書いた入会当初の思いを読み返したところ、「自分自身の成長のため」と記載がされてありました。私は入会当初と変わらぬ思いを胸に秘め、横浜青年会議所活動に邁進し、気がつけばそんな思いと同時に入会当時には想像もしなかったような自分に変革をしていました。それは、青年会議所活動を通じて得た多くの機会や経験、多くの人との出会いから、自分を越えたもっと大きな価値のために生きることの喜びを知り、いつの日からか「自分を変えたい」という自分への思いから、「自分に何か出来ることはないか」という自分以外のものへの思いに変わっていたのです。日々の活動の中で「こんな自分が少しでも世の中のために役立つことが出来る」と実感をしたことは、私の人生を豊かにしてくれました。姿勢が変わる程の経験をメンバーへ提供し、横浜青年会議所メンバー一人ひとりが更に前向きに活動を行える様に自らが先頭に立ち、全身全霊をもって職務に務めさせていただきます。今まで諸先輩方をはじめ多くの皆様に支えられ、見守られ、育てて頂きました。これらの全ては私の糧となっています。多くの感謝を胸に刻み敬意を表すと共に、横浜青年会議所63年の歴史を築いてくださったその重みを厳粛に受け止め、共感という力強い指針にて照らされた方向に歩みを止めることなく積極果敢に青年会議所運動に邁進して参ります。
青年会議所メンバーは日々「修養」を積み、新たな気づきや学びを得て、私達が住み暮らすまち横浜の未来のために率先して行動しなければならないと考えています。青年の運動によって多くの市民意識が変革され、この混沌とした世の中に大きな変革を興し、明るい豊かなまち横浜を共に実現して参りましょう。
私達“一人ひとり”の活動における“一つひとつ”にはその原動力となる大きな可能性を秘めています。だからこそ、現代における青年会議所運動は私達が見ることの出来ない未来へとしっかりとつながっていく確かな一歩となるのです。
一般社団法人横浜青年会議所
第63代理事長
齋藤貢一









