一般社団法人横浜青年会議所
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一般社団法人横浜青年会議所 理事長所信 TOP MESSAGE

一般社団法人横浜青年会議所 理事長所信 TOP MESSAGE

じめに

「人は何のために生きるのか」
この問いに対して、私は「世のため、人のため」を答えとして、日々を過ごしております。この言葉の前提には、自身の幸せがあります。自身の幸せを望むことができないひとに、他者を幸せにすることはできないと考えるからです。私たちは、自らの希望を達成することで充実感を得て、幸せを感じることができます。しかし周囲のひとが幸せではない中で、私たちは幸せを感じ続けることができるでしょうか。周囲のひとが等しく幸せであるときこそ、私たちは真に幸せを感じ続けることができるのではないでしょうか。そのためには、想いやりを持って、そのひとの幸せについて考え、そして行動し続けることが必要です。
他者を想いやることで、今取り組むべきまちの課題が見えてきます。これまで先進国は物的な豊かさを実現するため多大な資源やエネルギーを投入し、大量生産、大量消費、大量廃棄を行ってきました。このようなリニア型の経済社会活動は、環境のバランスを崩し、異常現象を引き起こす要因となっています。私たちは、物的な豊さのみを追い求める活動を改め、環境に配慮した社会を実現する必要があります。また、私たちが住み暮らす横浜は、近い将来、100万人が65歳以上という超高齢社会を迎え、それに伴い社会保障経費が2030年までに約800億円も増加します。その一方で人口減少により横浜市の税収入は減少します。支出の増加と収入の減少により横浜市の一般会計の歳入と歳出の収支差は2030年に約700億円の赤字となり、以後、収支差はマイナス方向に拡大し続けることが見込まれております。このまま税収構造を変革しなければ、横浜市民に必要な社会保障を維持することは困難です。市民が安心して生活できる社会を維持していくために私たちが税収構造の変革に着手しなければなりません。具体的には、循環経済を取り入れた総合産業を横浜に創出し、法人市民税による税収を増加させることが必要と考えます。
2011年に発生した東日本大震災は横浜市だけでも停電を除いた被害総数が1,000件以上あり、停電した住戸は約564,700戸に上りました。私たちに直接影響を及ぼす大災害が今、起こるとも限りません。いつ起こるかわからない災害に対して十分な準備を行い、横浜市民の安心、安全を守る必要があります。
そこで私たちは環境に配慮した社会の実現と総合産業の創出による法人市民税の増収を目指した「循環経済の推進」と、防災・減災を目指した「災害に強いまちづくりの推進」の二軸を中心に据えて活動を展開してまいります。

が為

誰が為を「利己と利他がもたらす好循環」と定義致します。まちに住み暮らすひとの幸せを実現するためには、まず私たちが自身の幸せを願う利己の精神を持たなければなりません。また、自身の幸せは他者の幸せによってもたらされます。そのうえで、周囲のひとに幸せをもたらすため、私たちは利他の精神も持つ必要があります。周囲のひとが求めていることを的確に把握し、それに応えていくことが私たちに対する感謝や信頼につながります。このように、私たちの行動が周囲のひとに幸せをもたらし、それが私たちの幸せにつながるという好循環を伝播させ、共感の輪を広げてまいります。

をより良く生きる為

大量生産、大量消費、大量廃棄というリニア型の経済社会活動は、気候変動、天然資源の枯渇、大規模な資源採取による生物多様性の破壊、人命を脅かす大災害など世界的な問題を引き起こす要因となっています。これらの問題は横浜で住み暮らす私たちの生活にも直接大きな影響を与える恐れがあります。この問題を解決し、より豊かな社会を実現するためには適切な対策を講じる必要があります。
横浜市は2018年に国から「SDGs未来都市」に選定され、2050年までに脱炭素化を目指す「Zero Carbon Yokohama」を宣言しました。私たちはゼロカーボンシティの実現に向け、行政や関係諸団体と連携し資本や資源を地域で好循環させる循環経済を推進するため、実践を通して得た事例を展開してまいります。また、横浜をより豊かにするため、現在使用されていない横浜の資産に新たな価値を付与し、賑わいを創出することで、このまちの発展に寄与します。さらに、私たちは横浜のまちづくりの担い手として、官民一体となり人類の英知を結集して実現できる、協力企業数が200社以上の産業である総合産業を創出することで税収構造の変革に着手してまいります。

える命を救う為

横浜に甚大な被害をもたらした関東大震災から2023年で100年目を迎えます。地震大国といわれる日本では、その大震災に匹敵する巨大地震がいつ起きてもおかしくないといわれています。2014年には今後30年の間に70%の確率で首都直下地震が発生するとの報告を政府の地震調査委員会が示しており、2022年5月には神奈川県内での死傷者約6.5万人、建物被害約28.5万件との被害想定が出されました。この死傷者数を横浜市の人口で按分すると約2.7万人という非常に高い数値が算出されます。首都直下地震のほかにも南海トラフ地震や富士山の噴火がいつ起きてもおかしくないとされています。これまでに経験したことのないような大規模災害が発生しても私たちの生活を守るために、防災・減災について今一度、見直す必要があります。
災害への対策は、事前の備蓄の充実と防災計画に沿った行動の周知徹底が重要で、これらの対策の出来不出来で、その後の生活の明暗が分かれます。災害時に備え、社会福祉協議会、その他の関係団体と連携し、自助、共助、公助の連携強化のため事業を展開してまいります。また、実際に大災害の発生に備えて、横浜市民に向けた研修を実施します。そして、横浜市防災計画を現状に即したものになるよう検討し必要に応じて提言してまいります。

とを想い、
ひとに想われる社会の為

青少年の取り巻く環境は少子化やコロナ禍、SNSの普及により大きく変化しています。内閣府の子供・若者白書によると、青少年の充実感や将来への希望は減少傾向にある一方で、社会貢献に対する意欲は高い水準にあります。そこで私たちは、社会貢献活動などを通して成長の機会を提供し、充実感や将来の希望を持った人財を育成する必要があります。
まず、横浜青年会議所の活動に参画できる機会を青少年に提供し、より自発的に行動できる人財へと成長を促してまいります。また、ひとを想う気持ちを素直に伝えることの大切さを理解してもらう事業を推進します。そして、循環経済や防災・減災に対する理解を深める研修プログラムを実施することで、当事者意識を持って地域課題の解決に取り組めるような人財を育んでまいります。ひとはひとりで成長するには限界があります。多くのひとと触れ合い、語り合う機会を創出し、相互に共育することにより、地域の未来に好循環を与えられる人財に成長できると考えます。

ち全体が一体となり、
賑わいを創出する為

1981年に「横浜国際デー プレ横浜どんたく」から始まった横浜開港祭は、横浜市民、ご協力していただける企業や個人、サポーターやボランティアスタッフなど多くの皆様からの共感をいただき、日本有数の市民祭として継続的に開催することができています。40年以上にわたり開催できているのは、常に時代の変化に合わせて規制緩和に挑戦し続けてきた歴史があるからです。その結果、事業規模は、予算、参加者数とも拡大していき、現在では横浜青年会議所にとって最大の運動発信の場となる事業に成長しています。これからも横浜開港祭が成長していくためには、持続可能な市民祭を目指し、今後も規制緩和に挑戦し続けるとともに、誰もが安心、安全に参加できるように警察関係者、警備関係者の皆様と共に警備計画のさらなる改善に取り組んでまいります。
ゼロカーボンシティを実現するためには、賑わいの創出に加え、環境問題への配慮が不可欠な時代となりました。2022年から開始したゼロカーボン、ゼロウェイストを目指す取り組みを本年も継続してまいります。また、2016年に開催された世界経済フォーラムでは、日々大量に発生している海洋プラスチックごみが長期にわたり海に残存し、このままでは2050年までに海洋中の魚の重量を上回るとの予想を発表されました。本年は新たにプラスチックごみに対する取り組みを実施し、環境に優しい市民祭を横浜から日本へ、日本から世界へと伝播させてまいります。
1859年の開港は横浜の大きなターニングポイントとして横浜市民の意識に刻まれています。不変のメインテーマである“Thanks to the port”「開港を祝い、港に感謝しよう」を大切にし、世界に誇れる横浜開港祭を開催致します。

事者意識を持った
組織である為

横浜青年会議所は、まちにひとにより良い変化をもたらすべく、当事者意識を持って目標を定め、地域課題の解決に向けて活動してきました。その活動が私たち自身の成長を促し、優れた地域のリーダーを多数輩出しています。40歳までという年齢制限のある横浜青年会議所が今後も活動を継続し、新たなリーダーを輩出していくためには、横浜青年会議所の志に共感するひとを新たに迎え入れ、その共感の輪を連鎖させていく必要であります。
まず、多くの新入会員を迎え入れるため、メンバーシップを推進してまいります。今まで培ったネットワークを最大限に活用するとともに、多業種との交流会開催、同じ趣味を持った同好会での交流を通して多くの出会いの機会を創出し、私たちの存在を周知していくことで、120名の新入会員を迎えることを目指します。
つぎに、横浜青年会議所の志を次世代に継続すべく、会の目的や歴史などを新入会員に理解してもらう事業を実施致します。まずは新入会員同士が同じ目標に向かって活動する事業を実施し、共通の成功体験を得ることで仲間意識を持ってもらいます。つぎに研修プログラムを通して横浜青年会議所に対する理解を深めてもらい、実際に事業を構築し運営していただきます。これらの経験を通して新入会員が横浜青年会議所の志に共感し、その共感の輪が広がると考えます。また、会員同士での幅広い交流を促し組織内のコミュニケーションを活発にすることで、普段の活動では得られない学びを得る機会を創出してまいります。
横浜青年会議所が目標達成に向かって活動するうえで、メンバーが方向性を同じくし、一緒に活動する行政や関係諸団体に私たちの活動を共感してもらうことは大きなインパクトを生み出します。式典や例会を通して横浜青年会議所の向かうべき方向性を示すことで、共感の輪を広げてまいります。

界中の同じ志を持った
仲間との絆の為

横浜青年会議所では、これまで国際青年会議所や日本青年会議所の諸大会に参画・参加し、国家間、地域間の交流を深めてきました。また、友好JC、姉妹JCとの良好な関係から横浜青年会議所だけでは得ることのできない経験とそこで培った絆が生まれました。これらの経験が横浜青年会議所の発展と成長に繋がったことに議論の余地はありません。これまで私たちを成長させてくれた機会に感謝するとともに、今後も諸大会への参画・参加や友好JC、姉妹JCを通して多くの経験と絆を創出することで、横浜青年会議所のさらなる発展に繋げる必要があります。
日本青年会議所が主催するサマーコンファレンスの開催地として、これまで26回横浜の地をご選択いただいてまいりました。サマーコンファレンスの開催は、私たちにとって成長の機会となっていると同時に、開催により生まれる行政や関係諸団体、企業との関係が私たちの活動の大きな後押しとなっています。今まで開催地としてご選択いただいていることは決して当たり前ではなく、先輩諸兄姉が今まで日本青年会議所の活動に真摯に向き合い、常に信頼に応えてきた結果です。これからも信頼に応えられるよう謙虚な姿勢で日本青年会議所の活動を支えてまいります。また、友好JC、姉妹JCとの良好な関係はこれからもしっかりと継続してまいります。
横浜では、サマーコンファレンスだけでなく、ASPAC、世界会議という国際青年会議所の諸会議も開催されてきました。諸大会の開催地としての経験がある私たちだからこそ、本年の諸大会の開催地である青年会議所のおもてなしの気持ちを理解し、感謝の気持ちを忘れずに行動してまいります。

に成長できる魅力的な
組織である為

青年会議所は単年度制で毎年組織の編成があり、1年ごとに会員に与えられる担いや役職が変化します。そのような仕組みの中でも横浜青年会議所は71年の間、組織基盤を維持し活動を継続してまいりました。横浜青年会議所が時代に即した新たな取り組みを行うにあたり、私たちの現状を謙虚に見つめ、規律の向上を図っていく必要があります。また、私たちの活動を組織内だけではなく、より多くのひとに届けるためには、効果的に情報発信をしていかなければなりません。
現在、情報発信のツールが多岐に渡り、複雑化しています。情報を届けたいひとに対して、どのツールをどのタイミングで使用するのが適切なのか、どのような内容が最も共感を生むのか、その選択次第で情報発信の効果は大きく変わります。伝えるべきひとに伝えたい情報が効果的に伝わるよう適切なツールを用いて、共感の輪を広げる発信をしてまいります。また、同じ志を持って活動していただけるひとを新たに見出すためDMやWEB広告などのマーケティング手法を活用して横浜青年会議所の活動内容や魅力を発信してまいります。
組織基盤を維持するにはガバナンスが重要です。ガバナンスが崩壊すると組織は混乱し無秩序となります。横浜青年会議所の目的は、定款第1章第3条に社会開発計画、指導力開発、日本経済の正しい伸展、人類の幸福と平和と定められています。横浜青年会議所の目的や定款、規定、決められたルールを明確に文章化し、理解できるように周知を行い、時には現状に合わせ変更し、厳守する必要があります。また、一人ひとりが決められた役割の中で最大限に切磋琢磨できる組織であるため、相手を想い活動することで個人としても組織としても成長に繋がると考えます。

びに

日本の中でも屈指の都市に発展した横浜は、物的に豊かになった一方、新たな問題が浮き彫りとなりました。より良いまちに変化するためには、ひとがありたい未来を想い描き、実現に向け本気で行動することが必要です。地域課題を抽出し、解決をすることで、今を生きる私たちだけではなく、次世代にとっても理想のまちを実現できると考えます。まちづくり、ひとづくりに本気で取り組む横浜青年会議所が横浜の市民や経済に好循環をもたらすことで、笑顔溢れるまち横浜の実現ができると確信しております。

誰が為 それは 自身の為
誰が為 それは 身近なひとの為 そして その周りのひとの為
誰が為 それは 子どもたちの為 そして その次の世代の為
誰が為 それは 豊かな心の為 そして 明るい未来の為

一般社団法人横浜青年会議所

第72代 理事長 中村 晃大