一般社団法人横浜青年会議所
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理事長所信

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横浜青年会議所理事長

じめに」

人の「心」が地域・国を創る。

歴史を振り返れば日本という国は大きな国難のたびに進化を繰り返してきました。日本という国は多様性を受け入れながらも基軸となるものは決して変わることなく受け継ぎ、そして磨きながら進化させてきました。

横浜は1859年の開港を契機に海外諸国との交易の中心となり、世界中から集まるひと・もの・情報・文化で溢れ、文明開化の国際都市として、目覚しい発展を遂げています。現在も約375万人を超す国際都市として成長を続けています。「祖国日本の再建は、我々青年の燃ゆるが如き情熱と撓まざる實行力に依つてのみ達成せられる」これは横浜青年会議所の設立趣意書の文頭であります。

そして最後には「世界經濟の一翼として、日本經濟の復興と世界平和の實現にいさヽかなりとも貢獻せんと企圖するものである」とあります。

2020年、世界平和とは程遠い新型コロナウイルス感染拡大による未曾有の危機に全世界は震撼し、三密を避けた新たな基準が原則となりました。世の中は大きく変貌し新たな時代へと変化していきます。しかしどの様な時代が訪れようとも青年会議所活動を止めてはいけないと考えております。世界危機・国難なときほど青年会議所として知恵と勇気と実行力をもって活動しなければならない反面、我々は青年経済人として本業を抱えております。

思い返すと横浜青年会議所の先輩諸兄姉は、圧倒的な国難の中、本業どころか生命の維持すら脅かされる状況下で設立趣意書を掲げ活動を始めました。なぜ立ち上がることができたのか今、想いを馳せてみたい。今こそ、横浜青年会議所を設立した原点に立ち返り、日本のため、世界平和のために、経済に対しても発信できる青年会議所活動を展開致します。

1951年3月29日、「創生」を運動指針として始まった横浜青年会議所は本年、創立70周年を迎えます。70年もの間、先輩諸兄姉が紡いでいただいた有形無形の資産を進化させ未来に繋ぐ責任を果たしていかなければなりません。その残していただいた資産を活用すれば他の団体では出来ない壮大な事業構築することができると考えております。

2010年代の運動指針を「共感」とし、共感の集大成として2020 JCI World Congress Yokohamaを開催させていただきました。強い志と目的をもって、開催させていただいたことを誇りに思います。引き続き2020年代は運動指針を「共創」とし、横浜青年会議所が起点となり地域にイノベーションを起こすきっかけを創出するためにも、様々なカウンターパートと共に、このまちに運動を起こして参ります。

望」

「この国には何でもある。本当にいろいろなものがある。だが、希望だけがない。」

かつて希望は当たり前の様に、我々の前提にあり、その様な時代には、目の前にある希望を叶えるべく、一生懸命に働き、新しいことに勇気をもってチャレンジしていくことができました。しかし希望という前提がいったん崩れてしまえば、何のために、何をすればよいのかが、分からなくなってしまいます。そもそも希望とは何なのでしょうか。希望という言葉をよく見聞きすることはあっても希望とは何かを教えてくれる人はいません。

「希望」とは、実現可能な目標を持ち望む未来に向かって変化させるため、諦めずに行動することと定義いたします。「若者に夢と希望を」といっても何を若者が手にすれば、希望を得られたことになるのでしょうか。日本の希望を考えるとき、やはり若い世代、未来に生きる世代が、希望を持てることが何よりも大事だと考えます。そのためには、先に生きてきた我々が、自分自身が経験してきたことを、良いことでもそうでないことも、正直に若い世代に伝えることが大切です。

世代を超えた率直な対話ができてこそ、日本の希望について考えることができます。私達は一度立ち止まって現実を見よと言われました。私達は偽りの希望を広めていると言われることもありました。しかし横浜青年会議所という物語のなかで、希望に偽りのものなどありません。

横浜青年会議所の精神は行く先が不確かなときでさえも私達を前へ突き動かし、意見が相違するときでも私達を一枚岩としてくれました。そして私達の目に見えるものではなく、見えないもの、すなわち先輩諸兄姉が紡いでくれた横浜青年会議所にはいつも困難な状況のなかでこそ「希望」が生まれてきたと考えます。

「希望」は現状の維持を望むというよりは未来に向かって変化させていきたいと考えるときに表れます。可能性を信じて、未来に向かって挑戦する我々は、仮にそれが失敗に終わったとしても、希望を捨てなければ限りなく「希望」に近づけます。何かを根気強く続けるということは、言い換えれば挫折や失敗に負けないということです。

何事にも「希望」を持ち、このまちの希望として何事にも諦めることなく行動し、自らが運動を創り成長することで、「明るい豊かな社会」の実現に繋がると信じています。

浜にある魅力の再興」

2020年、世界は新型コロナウイルス感染拡大により「新たな生活様式」を余儀なくされました。私達の日常が非日常になり世界は大きく変わりました。青年会議所に於いても、例外ではありません。今日まで我々の活動の源泉にあったのは、様々な事業を通した「まちづくり」を多くの市民の皆様に発信し、自分達が住み暮らす「まち」を自分達の手で創り上げてきたことだと考えます。

伝統を守り、先人達が残してくれた横浜青年会議所を守るためにもより一層、まちづくり事業を継続し発展させていくことが重要であると同時にコンベンションシティとしての横浜を語るときに、インバウンドを推進するかの選択が迫られていると考えます。そもそも横浜は開港当時から数多くの選択をしてきました。

開港当時、半農半漁の小さな村に過ぎなかった横浜は、多くの外国人や他都市からの移住者や異文化を積極的に受け入れ独自の文化とし、近代文明を全国へ伝播して参りました。東京のベットタウンとしての成長ではなく、個性を響かせ合い、多様性を受け入れる文化があったからこそ魅力的なまちへ発展してきたのです。

また横浜には様々な文化・ものが外国より伝播し、それが日本各地に広まったという事柄が多く存在します。それらを改めて伝えることで横浜の魅力を再興できるものと考えます。横浜青年会議所は1983年より地域に根差し、このまちの責任者として横浜経済人会議を通し、広く市民・行政に提言をして参りました。

1983年より開催している横浜経済人会議は昨年で第26回目を迎えさせていただきました。横浜青年会議所の未来への羅針盤となる事業として、本年も開催させていただきます。また昨年開催予定でありました東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が本年に延期となりました。

多くの外国人が横浜を訪れる契機となる年であり、まちの魅力を訪れた人が感じ、発信する好循環を継続できるかが重要となっていきます。横浜青年会議所でも昨年、横浜市と連携し事業を構築段階でございました。本年、開催出来なかった事業を改めて調査・研究し様々なパートナーと共に深化させ事業を構築して参ります。

青年会議所運動を進めるなかで、「自分達のまちは自分達で創る」という理念を基に、パートナーと連携し共に創る新たな共創都市の確立を目指します。

世代を担う人財育成」

私たちが住み暮らしているまちは、希望を現実のものにすべく変化し続けて参りました。希望は人の想いの中にあり、人々がより良いまちのために変化を望み働きかけることによって発展していくものです。希望がなければ、まちの発展は停滞しやがては衰退の一途を辿ることになります。

横浜青年会議所は、「明るい豊かな社会の実現」に向かって仲間と共に切磋琢磨し活動している団体として、個と個が結び付き、主体的に課題解決に取り組んで参りました。まちの発展のため、希望を現実のものにしていく地域のリーダーとなるべく、私たちや次世代の人財が成長することによって、より良い社会が実現されるのです。自分の意思を示し、他人の意見に耳を傾け、責任をもって、自主的に働くのではなく、主体的に働きかけられる人財こそがリーダーとなり得るのです。

一昨年から地域の意識変革組織として、はまファンクラブを幅広い年齢層を対象に横浜青年会議所の運動に共感し、私たちと共に様々な事業に参画することで地域のため、自発的に行動できる人財となるよう設立いたしました。

環境が大きく変わった今だからこそ、私たちが青年経済人として次世代のリーダーの見本となるよう、地域のリーダーとなり得るきっかけとして環境に適した人財の交流の場、実践の場を提供することで、先輩諸兄姉から学んだ、明るい豊かな社会の実現に真っ向から向き合い、常に進歩への挑戦を行う姿勢を次世代の若きリーダーへと継承して参ります。

その体験を通して学んだ、はまファンクラブの会員と共にまた次の世代である子供たちへ受け継げるよう事業を構築して参ります。世代の違う人財と交流することで世代間の垣根を超え、相互理解のもとに目指すべき希望に向かって邁進していけると考えます。「新たな生活様式」へと環境は変化しようが、70年前から脈々と受け継がれた熱き想いは人から人へ世代を超えても変わらずに継承され続けています。

その熱き想いが継承され続ける限り、私たちが住み暮らす社会にはより良い発展を遂げるために必要なリーダーが存在し続けると確信しています。

浜青年会議所の無限の可能性」

横浜青年会議所を一つの船に例えると横浜開港祭は船を動かすエンジンであり、横浜経済人会議が行き先を決める羅針盤であると教えられました。1981年に第1回横浜国際デー“プレ横浜どんたく”として始まった市民祭は先輩諸兄姉の皆様が規制緩和に挑戦し、我々に紡いでいただいた横浜開港祭は横浜青年会議所がもっている無限の可能性を体感できる最大の運動発信の事業です。

“ Thanks to the port ”「開港を祝い、港に感謝しよう」を毎年メインテーマに定めております。この言葉は、先輩諸兄姉から受け継いできた、我々現役の背中を押していただける大切な言葉であると共に、原動力であり、不変の志であります。

2021年度、横浜開港祭は40回目の節目の年を迎えさせていただきます。横浜開港祭を横浜青年会議所会員の力だけで開催することは出来ません。先輩諸兄姉の皆様、行政、民間団体、そして多くの市民の皆様と共に創りあげなければ開催することは叶いません。

しかし現在の情勢に鑑みますと横浜開港祭を開催するには今までにはない、様々な規制との共存が必要であります。現状の厳しさを認めつつも、より良い未来が待っていると信じられる変化を創出し、実現に向け希望をもち諦めずに行動して参ります。

手法は変わろうとも理念は不変であります。横浜青年会議所が横浜青年会議所であるためにも2021年度も横浜開港祭を開催させていただきます。

様性がもたらす価値」

現在、地域や国という次元を超えて、社会全体で「多様性」の重要さが指摘されています。

多様性を認め合うということは、国籍、人種、性別、宗教、価値観など、個人間の違いを認めるということであり、その違いを最大限に活かすことで、社会全体に活力をもたらすことが期待されています。不確実性が高まる世の中で、思いがけない事態には多様性を受け入れた発想がなければ適切に対処出来ません。

状況に応じて責任者がリーダーシップを発揮するために、多様性を認める組織づくりが求められています。共通することを尊重しあいながら、お互いができることを責任と誇りをもって行うことにより、多様性は個人の次元を超え、社会のものとなっていくのです。

300人を超えるメンバーが在籍する青年経済人である私達の団体は、若さという無限の可能性を持ち続けるために、会員の年齢を40歳までとすることで青年会議所自体は年を取らないという特徴があります。

常に英知と勇気と情熱を持ち、地域のリーダーに成り得るために新たな青年がこの組織を構成し続けるのです。そして相互関係を理解し話し合いをすることにより、一方的な発信ではなく、共創から導き出された発信力を高めることで、地域のリーダーになるのです。

地青年会議所との共創」

2021年度、横浜青年会議所はより深い連携が期待されることになります。今日まで横浜青年会議所が培ってきた連携、経験を基に渉外活動を各地青年会議所の皆様と共創し活動させていただきます。

日本青年会議所が主催し横浜青年会議所が共催させていただいているサマーコンファレンスは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により2020年度は開催することが出来ませんでした。

今まで横浜が開催地としてご選択いただけていることは当たり前ではありません。2021年度も、横浜の地を選んでいただける様に我々一人ひとりが各地青年会議所に対しての真摯な対応が求められます。

また2020 JCI World Congress Yokohamaで得た、国際青年会議所及び各国青年会議所とのリレーションを途絶えさせずに活動することも求められます。

織が進むべき未来」

今までの青年会議所活動と、これからの青年会議所活動では「新たな生活様式」を取り入れることにより、以前とは違った青年会議所の在り方が問われます。情勢に沿った、横浜青年会議所会員の有益になる情報を効果的に発信しなければなりません。

情報発信の手段が多様化していく中で、我々の運動をより迅速に、かつ戦略的に市民の皆様に伝播していくためには、事業の内容やその目的を地域等へ発信し、組織内外に於ける連携をより強固にすることが必要です。

時代に則したコミュニケーションツールを有効活用し、会員・関係諸団体・市民の皆様へ情報発信し、相互理解を促進することにより力強い信頼関係が結ばれたネットワークを構築して参ります。

青年会議所が長きにわたって運動を発信し続けられたのは、組織力があるからです。脈々と受け継がれてきた組織の基盤がしっかりとされているからこそ、我々は活動ができ、様々な運動を発信することが出来るのです。多様化が進む社会構造の中で、地域から信頼される組織の構築が「明るい豊かな社会」の実現に繋がっていると認識し組織運営を実施して参ります。

びに」

横浜青年会議所が産声を上げてから70年目を迎えます。組織が世代を超えて紡げられてきたのは、自らを価値の根源として捉え、先輩諸兄姉から事業を引き継ぐのではなく、横浜青年会議所に宿る大きな熱い志を引き継ぎ、新たなことに挑戦し変化を受け入れることが組織を守ることに繋がると確信しております。

今の時代だからこそできること、今の時代しかできないこと、全て変化として受け入れ、 守るべきもののために、活動して参ります。 横浜青年会議所69年の歴史を厳粛に受け止め、共創という指針に向けて歩みを止めることなく謙虚に着実に歩を進めて参ります。

失敗は受け入れることができる。しかし挑戦しないことは受け入れることが出来ない。 変化は必ずしも進化を伴わない。しかし進化は変化なしでは成り立たない。

自らが変化の原動力となり、進化の起点となるために、限りある青年会議所活動に責任と覚悟をもち務めさせていただきます。