理事長所信

理事長所信
2018年度理事長 草島 治郎

【はじめに】

私たちの愛するこのまちは、日本開国の先駆けとして、開港以来、歴史・文化・経済の交流・発信の拠点として発展して参りました。
横浜青年会議所は第二次世界大戦後、このまちの経済復興を本気で考え、想いを一つに重ね合わせた横浜の青年実業家と横浜在住の外国人メンバー20名によって1951年3月29日に設立され、本年で創立67年目を迎えます。

横浜青年会議所の設立趣意書には「祖国日本の再建は、我々青年の燃ゆるが如き情熱と撓まざる実行力に依ってのみ達成せられる。新しき社会を双肩に担う青年が同志相寄り相互の啓発と親睦を図り社会への奉仕を通じ広く全世界の青年と提携し将来における指導力の涵養に努めんとしここに横浜青年会議所を設立せんとする。」とあります。

横浜青年会議所は、私たち青年こそが次世代のまちづくりのリーダーとなることを宣言し、多くの政策を打ち立て、まちの発展につながる数々の事業を展開して参りました。2010年代のビジョンを共感と定め、“想いをつなげるまち横浜”の実現に向け、まちづくり・ひとづくりを通じて、現在も様々な運動を展開しております。

横浜青年会議所は経済7団体の一つとして、名実共に67年に亘ってまちづくりを担ってきた、由緒ある誇り高き組織であります。また、毎年約400名ものメンバーを有する、日本にある青年会議所の中でも有数の大きな青年会議所でもあります。とはいえ、現在はメンバーの約半分が入会3年未満であり、卒業までに経験できる年数も決して長くはありません。だからこそ、2008年に入会し、10年間様々な場面で多くの方々に御支援・御助言を頂きながら、横浜青年会議所に成長させて頂きました私自身が、先人たちから引き継いできた志をしっかり継承し、全てのメンバー一人ひとりに英知と勇気と情熱の価値を伝え、共感の連鎖を創り出し、“想いをつなげるまち横浜”の実現に向け、自らが最前線に立つ決意を致しました。

 2020年JCI世界会議誘致に向け、横浜青年会議所が設立当初から変わらず持ち続けているまちへの情熱を「横濱愛」として掲げ、このまちの青年経済人として、愛するこのまちの将来を背負い、子どもたちに希望溢れる明るい未来を手渡せるように、先人たちの志を忘れることなく、今一度我々青年こそがまちづくりのリーダーであるという原点に立ち返り、青年会議所運動に邁進して参ります。

【横濱愛】 

 「愛する、それはお互いに見つめ合うことではなく、共に同じ方向を見つめることである」。これは世界的に有名な『星の王子さま』の著者、サン=テグジュペリが遺した有名な言葉です。

 「横濱愛」とは、ただ単に横浜というまちが好きだということではありません。親が子を慈しみ育むように、私たちが住んでいるまち「横濱」に対して慈しみの心をもち、魅力的なまちへと育んで行くことこそが「横濱愛」なのです。そうして丹精込めて育まれ発展してきたまちであるからこそ、人間の本能的な愛情=親子の愛情と同じように、私たちは「横濱」に対して特別な愛情を抱き、「横濱」のまちと確かな絆で結ばれていくのです。

 「横濱愛」は、横浜という限られた地域の中に住み暮らす人々だけで完結するものではありません。「横濱」の目は内側だけではなく、常に外に向けても開かれ、新たなひとや文化を受け入れてきました。変化を積極的に受け入れ成長するまち「横濱」に共感し、そうしたまちの在り方を目指し共に同じ方向を見つめる人々を生み出すこともまた、「横濱愛」の形なのです。

 私たちが「横濱愛」をもってまちづくりを進め、スタイルを発信し続けることが、様々な国や地域の方々に対する大きなアピールとなり、横浜にたくさんの人を呼び込み、活性化させると共に、横浜を愛して頂ける方を増やして行くことができると考えます。

【まちづくりと横濱愛】 

 「三代住めば江戸っ子」という言葉がありますが、横浜では「三日住めばはまっ子」と言われております。横浜というまちのオープンな土地柄や市民の気質は、横浜に住み暮らし、また、横浜を訪れる多くの人が肌で感じているところです。かつて100戸ほどの半農半漁の小さな村に過ぎなかった横浜は、開港以降、多くの外国人や他都市からの移住者を受け入れ、今では約373万人と、政令指定都市で全国1位の人口を有する大都市に発展しました。極端に言えば、横浜は「移民」のまちであり、他者(よそもの)や異文化に共感し、愛情を持って受け入れることで、多様な文化芸術や独特の異国情緒が多くの人を惹きつける、魅力的な街へと発展してきたのです。一方で、人口が300万人を超える横浜は、家族と共に”住み暮らし、子供たちを育むまち”として、より良い地域コミュニティを創造すべく愛情が注がれてきたまちでもあります。

 今、2019年以降到来すると言われる人口減少の危機が叫ばれています。しかし、横浜には、このように都市そのものに内在するオープンな土地柄と、市民・行政・学識機関が連携した地域コミュニティ創成のプラットフォームが存在しています。横浜という都市に内在された、オープンで愛情溢れるマインドセットをもって、横浜という地域に留まらず、全国に、そして世界に飛び出しましょう。官民の垣根を越え、進化を積極的に受け入れ、前例の無い成長を呼び込む横浜のスタイルを広め、共感を得ることで、さらに多くの人を横浜のコミュニティに呼び込むのです。それは単に横浜への移住者を増やす、又は、インバウンドを増やすという意味ではありません。「三日住めばはまっ子」なのですから、例え三日でも横浜のマインドセットに触れ、横浜に共感する人を増やすことで、全国に、そして世界中に「はまっ子」を増やすのです。理想的には全世界の人を「はまっ子」にするのです。時間や空間に限定されずにまちのマインドセットを展開し共感を集める、こうした取り組みが新たなまちづくりの在り方であり、まちの衰退に悩む全国の多くの都市にとっての解決モデルとなるはずです。「横濱愛」に根ざした新たなまちづくりのモデルを実践し、横浜から全世界へ広げて参ります。

【ひとづくりと横濱愛】 

 子どもたちがより人生を豊かに生きて行くためには、様々なことをしっかりと学ぶこと、学ぶことにより自主性を持つこと、人やもの・地域を愛する気持ちを育むことが大切です。そして、子どもたちがこうしたことを学ぶ最初の先生は、私たち、親になります。子どもたちは親の無償の愛情をもって教育され、育まれます。教育には無償の愛情が何よりも必要なのです。

 私たちJAYCEEにも子どもを持つ親が多くおります。また、私たちは地域の若手リーダーとして次世代の担い手を育てる役割もあります。私たちは、無償の愛情をもって子どもたちを、そして地域の次世代の担い手を育てる大きな責任を負っているのです。

 昨年、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられ、既に2回の国政選挙が実施されました。横浜の未来を担う若い世代もまた横浜のことに関心を持ち、横浜を愛し、横浜をより良くして行こうという強い意志を持っています。今後はさらに行政とも連携を強化し、「横濱愛」を持つ次世代の担い手を育てられるよう、多くの機会を創出できるような運動を展開して参ります。

 子どもたちがどう育ち、何を身に付けて行くか、私たちが思い描く「横濱愛」を備えた大人へと成長するように教育することが必要であり、そのためには、まず私たちが自立した一人の人間として力強く生きて行くための総合的な力、所謂「人間力」を高めていかなければなりません。そして、「人間力」溢れる人財を見出し、育んでいかなければなりません。

 かつて強さと勇気を兼ね備え、その背後に大きな愛情を湛えた歴戦の勇士は「つわもの」と呼ばれ、人々を率い、世界と対峙してきました。私たちが「親」となり「先生」となるために、私たち自身が、困難と対峙する強さと勇気を備え、「つわもの」と呼ばれるようになる必要があるのです。天下国家を語る前に、まちづくりを語る前に、私たちの背中が、人として、親として、あるべき強さと勇気を語れているかどうかが今、問われているのです。

【横浜開港祭と横濱愛】 

 横浜というまちを語る上で、横浜港が開港した6月2日は特別な日です。横浜は、開国当初、約100戸の半農半漁の小さな村にすぎませんでした。しかし、開国してからというもの、多くの外国人や他都市からの移住者とも交流を深めながら、今では約373万人の人口を有する大都市へと発展して参りました。“Thanks to the Port”「開港を祝い、港に感謝しよう」というテーマのもと、第1回横浜国際デー“プレ横浜どんたく”として産声をあげ、1981年より毎年開催されている現在の横浜開港祭は、横浜青年会議所最大の事業であり、先人たちが膨大な努力を積み上げられ、地域に根差した賑わいを創出しております。本年は約75万人が来場され、多くの企業からもたくさんの協賛を頂いており、市民・企業の双方から横浜を愛して頂いていると心から実感できる、名実ともに横浜青年会議所を代表する事業となりました。これからも行政、市民、協賛企業と連携を強化し、愛され賑わいのある横浜開港祭を開催して参ります。さらには、横浜という地域に根ざした横浜開港祭という賑わいを、横濱愛を世界に発信するプラットフォームとして捉え、世界を呼び込み、短期交流を促進するコンテンツとして確立して参ります。

【メンバーと横濱愛】 

 横浜青年会議所の最大の財産は多様な背景を持った約400名のメンバーであります。多くの運動発信をし、会員と共に成長し続けている横浜青年会議所は、“明るい豊かな社会”の実現のために、また、地域の未来を考え運動を発信するために、設立当初より会員拡大を行って参りました。これまで以上に多くの運動を発信し、2020年JCI世界会議を大成功に導くだけの人財を確保するためにも、共に同じ方向を見つめるメンバーを一人でも多く増やし、「横濱愛」を持って、横浜青年会議所の魅力・伝統・志をすべて理解したメンバーへと育成して行くことが、横浜青年会議所の最大の力になると私は考えます。

 こうして集まったメンバーは、共に同じ方向を見つめ、同じ目標に向けて一丸となって活動しなければなりません。各委員会・室の一体感はもちろんですが、それ以上に横浜青年会議所全体が一つの方向へと舵を取らねば船は座礁してしまいます。横浜青年会議所最大の財産であるメンバーが集まり交流する機会は、それ自体が互いの資質を高め、私たちが進むべき方向を共有するチャンスです。義務や強制ではなく、互いに切磋琢磨し、ときに泣き、ときに笑い合えることに心躍らせることのできるような機会を多数創って参ります。

【各地青年会議所と横濱愛】 

 青年会議所の運動は、日本全国において、地域の課題解決に向け、その特性を活かした様々な取り組みが展開されています。情報化や交通インフラ整備の進展は、かつて存在した時間と空間の垣根を取り払い、複雑化・深化した課題を解決するために地域間がより有機的に連携することを当たり前に要求するようになりました。横浜青年会議所はこれら連携に率先的な立場で取り組むと同時に、横浜青年会議所だけでは青年の運動を全うし得ないことを、メンバー一人ひとりが自覚しなければなりません。利害に囚われず見返りを求めない「横濱愛」の精神は普遍的なものです。横浜青年会議所は、その普遍性を活かし、友好・姉妹JCはもちろんのこと、神奈川ブロック協議会、関東地区ともより密接なネットワークを構築し、協働・共振を図って参ります。

 日本青年会議所における最大の運動発信の場であるサマーコンファレンスは、1995年より横浜の地にて開催頂き、本年で23回目の横浜開催を迎えます。開催地として横浜を選んで頂いていることに心から感謝し、日本青年会議所の最良の伴走者として、行政とも連携し、全国より訪れる各地会員会議所メンバーはもとより、横浜市内外よりご来場頂く全ての方々にシティプロモーションを展開し、「横濱愛」をもって心に残るおもてなしを行う必要があります。

【JCIと横濱愛】 

 綱領の一節に“志を同じうする者相集い力を合わせ”とありますが、メンバー一人ひとりが「横濱愛」を持って横浜青年会議所の魅力や志を伝承させ、2020年JCI世界会議誘致に向け、先人たちのような「つわもの」を育成していかなければなりません。全国には695の青年会議所が存在し134もの国と地域にて、同じ志をもったメンバーが日々運動を展開しております。国籍や宗教が異なり、多様な背景を持った人たちが集まる組織だからこそ、様々な創造や価値観が生まれ、人は成長出来るのです。世界各国のメンバーが参加するJCI世界会議やASPAC等、国際の舞台での経験を通じて、世界各地や日本全国の「つわもの」と切磋琢磨することにより、自分自身が磨かれ地域のリーダーとして立ち続けられるようになり、“青年としての英知と勇気と情熱を”もった“明るい豊かな社会を”創り上げることが出来るのです。

 私たちは、開港当時より様々な交流拠点として発展を遂げてきたまちとして、また、JCI世界会議を誘致する青年会議所として、横浜青年会議所でなければできないことを明確にする必要があります。JCIが目標として掲げるSDGs(持続可能な開発目標)は、世界市民の一員である横浜市民もまた達成すべき目標であることに疑いはありません。開港のまちである横浜が、再び世界への掛け橋であり窓口となるべく、率先してSDGsの取り組みを理解し、その運動に取り入れて参ります。

 JCIとの関わり、そしてJCI世界会議の誘致および開催を通じ、横浜青年会議所や「横濱」の価値をより高める機会にして行きます。

【組織と横濱愛】 

 横浜青年会議所は1年ごとにその組織を変え、本年で67代目となります。日本全国、世界各地に会社や団体は数多くあれど、67代もの永きに亘って維持され継承されてきた組織はそうはありません。青年会議所としても有数のメンバー数を保ち、地域に大きなインパクトを与えてきた横浜青年会議所が、その組織を維持し、より効果的・効率的に運動を展開し続けるためにも、規律の保持と創設の精神の継承、そしてブランド力の向上は極めて重要です。

 規律は本来、外部から強制されるものではなく、メンバー一人ひとりが自主的に自覚し、保持すべき「自律」でなければなりません。そのためにもメンバーが組織の一員であることに誇りを持てるような組織運営とメンバー教育が必要です。

 メンバーの誇りは組織運営だけでなく、組織の外部評価を高めることによっても保つことができます。横浜青年会議所の社会的貢献が広く地域に知られることは、メンバーや、メンバーを支える家族や従業員にとって、大きな誇りとなり、他の団体との違いを明確にするでしょう。広報活動のために青年会議所運動の本質を歪めてはならないことは確かですが、運動の社会的インパクトを大きくし、メンバーが誇りをもって運動に取り組めるためにも、メディアの活用を前提とした事業構築と外部情報を有効に活用するための戦略的データベース構築を検討する必要があります。

 「横濱愛」をもち、愛情溢れる規律を継承し、外に開かれた組織を創ることによって、組織の価値をより高めて参ります。

【結びに】

 人生には限りがあります。毎年、様々な役職の中で当事者意識を持ち、責任を果たし、やり遂げることが必要なのです。私は、2008年にご縁を頂き、横浜青年会議所の門を叩かせて頂きました。また入会してから、一年毎に様々な役職を経験させて頂き、現在に至ります。当時を想い返すと、「つわもの」と呼ばれてきた多くの諸先輩や同志の仲間たちから「横濱愛」を持って叱咤激励を頂き、わが子のように無償の愛情で指導し育てて頂きました。歳を重ねる毎に、私の中で「横濱愛」が強くなり、私の人生を豊かにしてくれました。

横浜青年会議所メンバーに人生を豊かにして頂けるように、また様々な機会を提供出来るように、67年という歴史を強く受け止め、自らが責任と覚悟をもって職務に務めさせて頂きます。

 2018年度すべての運動に、夢や希望を膨らませ、今こそ「横濱愛」をもってこのまちの未来のために、日本全国、世界各国に向けて存分に「横濱」の魅力を発信し、そして、横浜青年会議所が掲げる“想いをつなげるまち横浜”の実現のため、共に未来への道を切り拓き、創り上げて行きましょう。

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